この杉は隣村との境辻からも頭だけが見えるけれど,実際は峠ひとつ越えた先にあって,辿り着くにはずいぶん時間がかかる。
こどもたちは当時「えんぴつ杉」と呼んでいて,目印のひとつとして使っていたし,遊び場のひとつでもあった。おとなたちは「天狗の二本杉」と呼んでいたけれど,私が覚えている限り,その頃から杉は1本しかなかった。
なんでも大昔は2本の杉が並んではえていて,天狗や神隠しの伝説が残っているということだった。そのせいか,年寄りはこどもがひとりで二本杉に行くことに良い顔をしなかった。もちろん天狗を見たというひとはいなかったし,神隠しなんてこともなかったけれど。
でも,あれからだいぶ長い年月が経って,村もずいぶん寂れてしまった。
まるで村中が神隠しにあったように誰もいなくなった。
こどもたちは当時「えんぴつ杉」と呼んでいて,目印のひとつとして使っていたし,遊び場のひとつでもあった。おとなたちは「天狗の二本杉」と呼んでいたけれど,私が覚えている限り,その頃から杉は1本しかなかった。
なんでも大昔は2本の杉が並んではえていて,天狗や神隠しの伝説が残っているということだった。そのせいか,年寄りはこどもがひとりで二本杉に行くことに良い顔をしなかった。もちろん天狗を見たというひとはいなかったし,神隠しなんてこともなかったけれど。
でも,あれからだいぶ長い年月が経って,村もずいぶん寂れてしまった。
まるで村中が神隠しにあったように誰もいなくなった。
